2004年11月18()

ベラウを想う

海洋民族 ベラウの民具。人々は素朴で情熱的だ

 23日に迫った都立大での〈連続ティーチイン沖縄〉の心の準備をしなくてはならない。人前で話をするのが苦手だけに、考えただけで気が重い。別段、準備という程のことはないのだが、最低限話しておきたいことだけはメモっておかねばならない。話の流れも考えておくべきだろう。
 今日もこのHPを立ち上げてくれている沖縄の〈うさぎさん〉と、メールや電話でのやりとりに朝から追われる。〈辺野古〉や沖国大の〈壁〉保存などで彼女も忙しいらしく、なかなかつかまらない。

 午後1時〜3時、千葉県立図書館の分館。目取真俊の短編小説「伝令兵」(『群像』10月号所収)を一気に読む。沖縄戦を現在に引き寄せ、読者をぐいぐいと引き込むこの小説家の姿勢と力量には、いつもながら感服する。目取真小説、そろそろ長編が読みたいのだが…。

 東京新聞の記事に釘付けになる。ベラウ共和国で米軍に志願する若者が後を絶たず、ついに戦死者が出たとの特集記事。死んだのはジェイジー・メルワットさん(24)。高卒後米海兵隊入り。水陸強襲隊の一員としてイラクのファルージャで9月14日に死亡したという。その日は一人娘の3歳の誕生日だったそうだ。

 この20数年、ベラウ(旧パラオ諸島)には何回足を運んだだろうか。「国連信託統治」という名のアメリカ支配を脱するにあたり〈非核憲法〉を制定し、世界から注目された人口2万人の太平洋の小国。戦争を忌み嫌い、軍隊を持たず、〈月〉と〈海〉をデザインした美しい国旗を持つ国。その国の若者がよりによってイラクで戦死とは…。

 新聞が伝えるベラウの最新事情は僕を一層憂鬱にさせた。今月9日から11日にかけて同国で行われた米陸軍の入隊試験に 150人の若者が応募したという。応募者はこの10年で1500人。これはこの国の人口の10人に1人に相当する。応募理由は、船の整備士資格を取りたい、コンピューター技術を身につけたいなどで、背景には深刻な雇用事情や低賃金があるという。

 だが、はたしてそれだけであろうか。僕にはこの国の外交権と国防権を握る米国が、小国の弱みにつけ込んで〈兵士狩り〉をしているように思えて仕方ない。徴兵制のない国では「技術修得」は兵士を集めるときの常套手段だ。それにしても、資格や技術欲しさのための軍隊志願と、そのあげくのイラク派遣とは…。なんとも悲しき日本との符合である。イラクのファルージャでは、「米軍兵士」の侵攻で今日も多数の住民が殺され続けている。

 再選されたブッシュ大統領の下から「穏健派」といわれたパウエル国務長官とアーミテージ同副長官が去り、代わってライス大統領補佐官が国務長官に。そして「超保守派」で知られるボルトン国務次官が国務副長官か大統領特別補佐官に昇格するとの報道がしきりだ。武闘派揃いの「ネオコン内閣」の登場で地球はここしばらくの間、氷河期だ。21世紀はアメリカの〈銃火器による一国支配〉の世紀になってしまうのだろうか。

 ←日記INDEX戻る

 ←表紙へ戻る

←前へ * 次へ→

Copyright(c)1999-2004 Katsu Moriguchi ALL RIGHTS RESERVED.