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〈石垣・西表・由布島 あったか八重山諸島周遊〉〈今だけの期間限定 5万円〉…。朝刊を開くと、旅行代理店のこんな広告が目に飛び込んできた。ご丁寧にも関東と石垣島の冬場の平均最低気温まで載せている。いまに始まったことではないが、世は安さと癒しを競う時代。今年の春頃には、たしか〈宮古・八重山2泊3日9島巡り 3万9800円〉なんていうのもあった。〈安・近・短〉ならぬ〈安・多・短〉が売り。最短日程で、より多くの所に低価格で旅をする。こんな商品、売る方も売る方なら、買う方も買う方だと思う。沖縄も見下されたものだ。 飛行機と貸し切りバスと島々を結ぶ高速船を乗り継いでの駆け足旅行。少ないパイを航空会社、バス会社、大手資本のホテル、そして代理店が奪い合うわけだ。客はといえば、添乗員の後を追うのが精一杯の、およそ〈癒し〉とは無縁のハードな行程。お年寄りが雑踏の中で息を切らしてへたり込んでいる図は、この国の文化的貧困を語るに十分だ。先島諸島の良さは、南の島々を流れるゆったりとした時間にあると思うのだが、客の中には自分がいまいる島の名も知らないひとも少なくない。 〈観光立県〉を掲げる沖縄県は、今年の観光客数を550万人(うち60万人が宮古・八重山など先島諸島観光)と試算している。だが秋口に入って伸びが止まり目標達成は危うい。日本列島を襲った相次ぐ台風や新潟中越大地震の影響を理由にあげるが、はたしてそれだけだろうか。良質な観光とはほど遠い、いまのような商法を続けていたら遠からず誰からも見向きもされなくなるだろう。いや、その時はもう始まっているのかもしれない。 でも、それもまたいいのかもしれない。沖縄が本来の静けさを取り戻し、我に返る機会になるのならば…。 |