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2006年6月11日(
)

音魂 言魂

ぼくの小さな食卓
(那覇市天久の賃貸マンションで)

 6月 5日(月) 東京・千石の三百人劇場で三好十郎の『鈴が通る』(劇団文化座)を観る。シベリアに抑留されている息子を返せと、役場に通いつづける老女・そめ。息子を思う一途な気持ちと、彼女をめぐる村人たちの心の変化が、山村に響く鈴の音共々心に染みる。文化座が一昨年から始めた「シリーズ三好十郎の世界」の一環。
 この国の「戦前回帰」が深まる中、地道に、執拗に「平和」を追求しつづけるこの劇団の [言魂] は貴い。

 帰路、同道した近田洋一君と巣鴨駅近くの居酒屋で酒食。一月にスペインで描いてきた数々のデッサンを見せてもらいながら、明るいうちからビールで焼き魚をつつく。

  6月 7日(水) 第54回「ピースボート」の水先案内人を引き受けることになり、スタッフと打ち合わせ。地球一周の終盤、サンフランシスコからハワイのホノルルまでの6泊5日の船内で、沖縄に関するゼミ2回と講座2回。他にドキュメンタリーの連続上映も。
 気が重いが、スタッフの熱意にほだされて引き受けた。〈沖縄〉も〈日本〉も重大局面を迎えているし、〈沖縄〉と歩むようになって、今年でちょうど50年。いま逃げてどうする?。

 大工哲弘さんから新作のCD『JINTA WONDER LAND/ジンターランド』(offnote/ON-58)が届く。八重山生まれのシャイな唄者・大工が飄々とうたう野口雨情の「シャボン玉」や北原白秋の「煙草のめのめ」、そして沖縄の「汗水節」など心なごむ15曲。
 いま、なぜ野口ゆ白秋や中山普平メロディに代表される「大正ロマン」なのか。しがな一日“大工節”に琉球の [音魂] を聴く。

6月 8日(金) 恵比寿の東京都写真美術館で画家・田中一村(1907〜1977)を描いた映画『アダン』を観る。奄美の風土や命を描きつづけた一村については常々共感、感動を抱いていたので…。監督の五十嵐匠が銀幕に叩きつけたのも、やはり人間の [魂]。久々に力の入った作品に出会う。

 6月11日(日)
梅雨寒。駒込の「琉球センター・どぅたっち」で開店6周年を祝う小宴が開かれた。[どぅたっち] とは、沖縄語で [自立/独立] の意。商店街の一角、狭い路地を入った所にある小さな店舗。棚に並んだ沖縄の物産が互いに自己主張しあって、新たな客との出会いを待っている。

ここは、沖縄の独立を夢見る太田武ニさんや島袋陽子さんらの情熱で生まれ、運営される“下町の中の琉球空間”。物販だけではなくトークやライブなどの催しを通して〈平和〉や〈共生〉を追求しつづける場―。
 お祝いに駆けつけた若者や年長者など [志] を同じくする人たちの笑顔がまばゆい。

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