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2006年10月20日(金)

アロハアイナ


うたを歌って「ピースボート」の来訪を歓迎するチャーター・スクールの子ら
(10月18日)

 10月18日(水) 06時、目を覚ますと船はすでにホノルル港に接岸している。8階デッキに駈け登り、辺り一帯を眺める。街の向こうに連なるなだらかな稜線が首里の丘を連想させる。日本人にとって「近くて近い」“観光ハワイ”、僕にはちょっと憂鬱で「遠い国」ハワイが、目の前にある。

 終日、アレン・ネルソンと共に「地球大学」の船外学習ツアー/エクスポージャーに参加。
 11:30〜14:00 ハワイ大学のハワイ学研究センターで、先住民でハワイの軍事化などと闘っているカラウ・ロカヒさん、日系ハワイ人のカイル・カジヒロさんから“基地の島・ハワイ”の現状や先住民の思いを聞く。

 ロカヒさんは「文化の衝突」という表現で、アメリカに侵略されたハワイの悲劇を語った。ハワイの人々にとって、土地とは [命の糧が属する所]、つまり生命の源。
 〈アロハアエナ/土地を愛そう〉
 これは、先住民たちの心。魂の叫びだ。

 だが、アメリカによるハワイ併合(1893)で、人々の共有財産だった土地が私物化され、フェンスで仕切られ、軍隊による破壊と汚染がつづく。その耐え難い屈辱感と、いつの日か土地を取り戻し、緑の大地をよみがえらせる自信とが、ないまぜになった黒い瞳で僕ら日本人を見つめる。

 ・ハワイの人口約127万人。その80%に当たる90万人がオアフ島に在住。
 ・オアフ島の面積は約1500平方メートル。沖縄本島の約半分。内25%は米軍基地。
 ・米兵4万4000人、その家族5万6000人、退役軍人1万6000人。なんと人口の17%が米軍人関係―。いまや先住民はハワイ州全人口の約20%にまで減少してしまった。

 人口過密な島に広大な基地。住民生活など経済・社会に直接間接に及ぼす影響の大きさ、深刻さが“基地の島沖縄”と重なる。バスの車窓から垣間見たワイキキのビーチ、高層ホテルと高級ブランド品店の建ち並ぶカラカウア通り…。情無用の西欧化!

14:00〜18:40 市内ビショップ博物館内のカラウロカヒ・チャータースクールを訪問。芝生の上で車座になって生徒たちとハワイの伝統や文化の大事さなどについて話し合う。その後、午前に引き続きロカヒさんとカイルさんからハワイ先住民の現状や米軍基地問題でディスカッション。

 2人の話から――
 《米兵による事件事故は多いが、きちんとした数字が把握できない。ハワイ経済は観光と基地の2本柱だが、先住民は下働きばかり》
 《3〜4世の日系沖縄人は沖縄の基地問題に無関心だが、ハワイと沖縄は共通点も多いので、〈ハワイ・沖縄同盟〉を結成して一緒に立ち上がろうという動きも出ている》
 《憲法9条/非暴力は世界の宝。ぜひ護って!》
 《IT時代。自分たちの持っている情報を外に向かってもっと積極的に互いに発信し合おう》

 この席で2人に対し、かつて大田昌秀沖縄県知事がハワイのダニエル・井上上院議員に対して「沖縄基地の一部受け入れ」を要請。井上議員が「歓迎した」ことについての感想を聞いてみた。
 カイルさんの表情が曇った。
 「自分たちも基地を減らしたいと運動しているのに…」「井上議員は受け入れの是非を市民にも問うていない。ハワイでは彼のことを“ゴッド・ファーザー”/政界の黒幕、と呼んでいる」
 大田知事の要請はもう10年近く前のことだが、これは今回の海兵隊の「グアム移転」と同質の問題。果たして平均的なウチナンチュに「グアムの先住民を思いやる心」ありや。

 10月19日(木) 「地球大学生」と共に、オアフ島北西部の「カアラの谷文化学習センター」へ。自然との共生を通して、持続可能な生活と「あるべき姿」の回復をめざす学習拠点。
 ここで僕らの前に現われたのは、なんとベトナム帰りの元米海兵隊員、ニマファナ・ワイアナエ(旧姓ブッチー)さん。ウィスコンシン州の農家に生まれ育った彼は、1973年ハワイに渡り、ハワイ人女性と結婚、家族や友人の教えのままに「アイナ」(土地)から気をもらい、癒されながら生きてきたという。

 学習センターのあるカアラの谷は、島の西部を貫くハイアナエ山脈のほぼ北端。清流が大地を潤し、鳥のさえずりが絶えない高い山と山の間にひらけた大地。彼らはこの地で、生きることの大事さを年間4000人の子供たちにタロイモ植えや樹皮を用いての布づくりなどの実践を通して教えているという。

 ワイアナエさんの言葉から――

 《ハワイ人は、資本の進出などにひどく追い詰められているけど、だからこそ〈本来のハワイ〉を取り戻すために力を合わせて生きている》
 《水は生命の源。昔からハワイ人は、カネより水を持っている方が豊かになると信じてきた。自然破壊でその水が減った。観光客がトイレに流す水を農業のためにまわしてほしい》
 《地球は、2012年までには石油資源の枯渇や環境汚染など、あらゆる危機に直面する。予想されるさまざまな事態へ、自分自身で備えを。カネをかけないでもできることを一人ひとり考えることが大事だ》

 帰途、さらに島を北上、マクアの米軍射爆場などを見る。沖縄・やんばるの山と瓜二つ。かつてこの一帯で暮らしていた先住民を追い出しての基地のための土地接収だったという。

【写真】カアラの谷でタロイモの苗を植えるPBの若者たち (10月19日、「カアラの谷文化学習センターで」)

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