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沖縄通信 No2

沖縄サミット」という酸っぱい飴

  <沖縄サミットを成功させよう>という合言葉が今沖縄中にあふれ返っている。県庁や市町村役場には大きな垂れ幕がさがり、町のなかには至る所に立て看板が立つ。「サミット成功」に名を借りた道路や町の清掃や関連の催しものもかまびすしい。幼い子供たちも巻き込んで、まさに"体制翼賛"的な雰囲気である。

 サミットを成功させるとは、一体どういうことだろう。サミットを開くことで沖縄はハッピーになれるのだろうか。僕はたいそう懐疑的だ。そもそもサミットとは何なのか。そのことをきちんと見極めることなく、無批判に体制迎合する時代の雰囲気も怖い。

 サミットは<沖縄の幸せ>を話し合うために沖縄で開かれるのであろうか。答えはもちろん<ノー>である。サミットの本来の目的は、西側先進国の首脳が世界の経済戦略、つまり、富の再配分を話し合う場である。ところが近年になって経済討議の枠をこえ、政治会議の性格が増した。共同の軍事力によって自国の利益にならない国を抑え込もうとする協議の場である。参加国の顔ぶれを見れば一目瞭然だ。日本を除けば、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、そしてロシアなど"西の列強"とEU(欧州連合)。これらの国々の首脳は昨年、国連のルールそっちのけでユーゴを武力制圧した"戦犯"だ。だからこのサミットを僕は"戦犯サミット"と呼ぶ。そんな会議に期待し、それを成功させるとどういうことになるか。答えは言わずと分ったことではないか。

 僕が最も恐れるのは、この会議で「米軍が沖縄ではたしている重要性」を確認するのではないかということである。アメリカの外交のしたたかさからすれば、それは十分あり得ることだ。もしそんなことにでもなったら、沖縄の基地問題は現在の「日米間の問題から「8カ国の問題」となり、とてつもなく先が見えなくなってしまうだろう。沖縄は日米両政府だけでなく、ヨーロッパ諸国を相手に陳情・要請を繰り返さなければなからなくなるからだ。
 「サミットの沖縄開催」は、日米両政府が約束した「普天間基地の県内移設」を実現するため、地元攻略法として発想されたものなのである。普天間基地を初めとする多くの軍事基地を、この先もずっと沖縄県内に閉じ込めておこうとする政府の果てしない思惑...。それを確固たるものにするための「県民へのアメ玉」である。

 各国首脳の沖縄滞在はおおむね2泊3日。この間、G7首脳会議が1回、G8首脳会議が3回、それに共同宣言や夕食会、そして各2国間首脳会議や記者会見などの公式行事がメジロ押しで、各首脳が沖縄各地を見物するヒマもなければ、ましてや軍事基地の重圧に苦しむ沖縄住民の実情などを見て回るゆとりなどないのである。だいたい、そんなことは彼らの目的ではない。政府や沖縄県はサミットが沖縄に多大なメリットをもたらすと、幻想をばらまき続けているが、こんな状態で沖縄がいったい何を期待できるだろうか。沖縄が得る利益といえば、せいぜいクリントンやプーチンやブレアなど各国首脳の顔を刷り込んだTシャツを観光客に売って小銭をかせぐぐらいが関の山ではないのか。だいたいサミットを利用して何かを売り込み、利益を得ようなどという発想自体がさもし過ぎる。

 沖縄県の稲嶺知事はサミットを機に「沖縄から平和を発信する」と意気込んでいる。だが、県の平和祈念資料館の展示物をひそかに改ざんするような知事にいったいどのような平和メッセージが発信できるのか。答えは推して知るべしである。
 アメには甘い飴もあれば、酸っぱい飴もあるが、サミット飴は表面を<幻想>という名の甘い糖皮でくるんだアメ玉である。口のなかに入れてしばらくすると、突然酸っぱくなってきて、子供が吐き出すあの飴である。クスリにもそういうのがある。にがいクスリだ。にがくては口にも入れてもらえないから、表面を糖分でつつんで甘くしてある。でも、クスリの場合は病気を治したり、患部の痛みを抑えてくれるからまだよい。しかし、"サミット飴"のようなものを図に乗って舐めていては完治不能の糖尿病を患い、いのちを縮めるのが落ちだ。恐ろしいことこのうえない。

 <まつり>を催すことによって地域振興をはかったり、発展を夢見るのはもうやめよう。ウチナーンチュは日本復帰直後の国際海洋博覧会などの国の押し付けによるイベントや大規模プロジェクトでは沖縄が「健康的な発展」をしなかった実例を見てきたではないか。
 ヤマトンチュも<沖縄>を傍観し続けることをもうそろそろやめるべきだ。「アメ玉」に飛びついたり、飛びつかざるを得ないような情況に沖縄の人たちを追い込んだのは、沖縄から目を反らし、見てみぬふりをし続けるヤマトのサイレント・マジョリティたちだ。ウチナーンチュ、ヤマトンチュ共々、もう一度立ち止まって、じっくりと考え対処しなければ、間違いなく後世に悔いを残す。


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