旅日記(1)

これから60日間の旅がはじまる。2度目の中国だ!北京と天津以外は初めての地になるし,2カ月という長期の旅,しかも歩いての旅,は勿論はじめてのことだ。
飛行機で香港を経由し福州まで今日中に行くのだが,団員の中から10人の有志が集まり,守礼門,建設中の首里城から,集合場所の那覇空港国際線ロビーまでの道を歩くことになった。途中に観音堂(かんのんどう)というお寺があり,そこのお守りを友人から贈られていたので,門の前ではあったが,旅の安全を祈った。国際通りでは,RBCの元同僚が私たちの取材をするために待機していた。もし仕事を続けていたら,このようなチャンスはなかっただろうな,と思った。いや,辞めてでも参加したかも?
これから中国へ向かうための歩きは,とてもワクワクした。朝の美味しい空気を吸いながら,心地よい汗をかき,軽いウォーミングアップになった。でも,ここはまだ沖縄!中国での歩きは,果たしてどんなものになるのだろうか?
那覇空港国際線出発ロビー前で,全員で「元気に行って来ます」と決意表明!
午前11時40分那覇空港を出発。香港には13時に到着。懐かしい風景,と思いながら香港啓徳空港で乗り継ぎ便を待つこと5時間あまり,やっと18時過ぎに香港を出発。2時間ほどで福州空港に到着。100万ドルの夜景と比べてしまったからだろうか,上空から見た福州市の明かりはあまりにも寂しい。中国の夜は暗い,というのは初めて中国を訪れた1987年の印象でもある。でも、きっと地上は活気にあふれた人達でいっぱいなんだろうな,と思った。
どっぷりと暮れた空,まとわりつくような生暖かい風をうけながらタラップから地面に足を置いた瞬間,やった,中国だという安心感でいっぱいになった。出発までの間に病気や怪我でもしたら中国に行けなくなる,という緊張感が,参加が決まってから今日まで常にあった。それと,私は中国の飛行機に搭乗するのは今回が初めてで,中国東方航空はなんとなく乗務員も雑で無事に到着するか不安でもあった。
空港の建物の中が薄暗い,というか,電気が弱々しくついているという感じで,それにはさすがに驚いてしまった。今までに降り立った空港で一番暗い空港だと思った。床も埃だらけで,段ボールを動かすとざらざらした音がする。
団員それぞれのスーツケース,事務局や医療団の段ボール箱,大変な数の荷物だ。それぞれに番号がふってあり,注意深く確認をしていく。泡盛(あわもり/沖縄のお酒)の一升ビンのケースが割れ,すこし壊れかかった段ボール箱もあったが,どうやら荷物は全部届いたようだ。入国手続きを済ませ,建物の外に出た。私たちの乗るバスや荷物を運ぶトラックが並んでいた。そのトラックを見て驚いた。飛脚の絵の入った佐川急便のトラックだったからだ。中国にも進出しているのかと思ったが,そうではなく,中古のトラックを中国に寄付したものだということだった。日本だったら,すぐに車体を塗り替えるだろうな,と思った。
空港を後にして市街地へとバスは走る。オレンジ色の街灯,無灯火の自転車がバスを横切る,腕を組んで仲よく歩いているアベック,屋台で食事をする人たちの満足した顔。移動の間ずっと外を見ていたせいか,だんだん薄暗い外の様子も見えるようになってきた。
ホテルに入り夕食をすませて部屋へ戻る。他の部屋ではどうやら宴会がはじまったようだが,私は明日の為に遠慮する。明日の朝,どんな風景がこの窓の向こうに見えるのだろうか?楽しみだ。