旅日記 8/28-1


天妃宮での安全祈願祭

8.28 晴れ 泉州滞在


ハンカチーフをちぎれるほど振ってくれた   音楽に踊り、街全体が舞台になったようだ 


 「安全祈願祭」は,泉州市のいきな計らいで,縁起のいい「8」を並べた8月28日午前8時からとりおこなわれた。
 天妃宮(てんぴぐう)には,色とりどりの衣装に身を包んだ楽団や踊り子たちが整列している。そこに向かう沿道も,中国映画のロケ現場にでも出くわしたかのような感じだった。窓という窓からは,好奇心に満ちあふれた顔が,こちらの様子を伺っていた。

 泉州には,琉球が中国に進貢を始めた初期の約百年間,海上貿易業務をおこなった役所があった。琉球からの使節が来航し,「来遠駅」を拠点とした。その「来遠駅」があったという聚宝街から天妃宮までの約5百メートルを行進。その両側で,髪に飾った赤いリボンが印象的な小学生や中学生の子供たちが「歓迎,歓迎(ホアンイン,ホアンイン)」を繰り返している。鼓笛隊の演奏や民族楽器の演奏,けたたましく鳴り響く爆竹の音。そのお祭りのような中を歩く。赤や黄色の造花の花が大きく振られる。破れてしまいそうなほどハンカチを振る子供たち。先頭では上半身裸の男性たちが,胸をパチパチ叩きながら愉快に踊っている。邪気を払う踊りに似ていると,学術員のお一人が言っていた。沿道には約1万人の市民が集まったと聞いたが,あの笑顔で手を振ってくれた子供たちは,いったい何時間待っていたのだろうか?なんだか申し訳ないような気がした。

 天妃宮は去年(1991年)に修復され,海神祭が復活。そして,私たちの為にその伝統的な儀式を古式に則ってとりおこなってくれた。境内には雅楽にも似たリズムが静かに流れる。京劇に出てくるような衣装を身に着けた,立派な髭の男性が,少しかん高い声で「一路平安(イールーピンアン)」と言った次の瞬間に,ジャーンジャンジャンジャンジャンとドラが打ちならされた。正面の祭壇には供物が並べられ,右側には豚一頭,左側に山羊一頭が生のまま供えられていた。安全を祈願する祈りや踊りが奉納され,最後に全員が線香を焚き,旅の安全を祈った。

 祈願祭で,ガウンのような衣装を着て,横笛を吹いていた女性の一人が,私に琉舞を教えてくれたMさんにそっくりで、思わず見つめてしまった。あまり踊りの練習ができなかったことを,Mさんは心配してくれてた。その思いが,泉州にまで飛んできたのだろうか?彼女の方も私の視線に気付き,目と目が合った。ニコッと笑うと,すぐに笑顔がかえってきた。その笑顔がますますそっくりなので嬉しくなった。儀式が終わって一緒に写真を写した。

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