★DENVERうさぎ通信WWW版
岡田さんは、去年、琉球放送を退職し、今春からフリーで活動をはじめた、とってもパワフルな女性です。
彼女との会話を通して、私はこれまでいろんなことに気が付き、考えさせられてきました。うさぎ通信でも紹介しようと寄稿してもらいました。
「100人いれば100の生き方がある」。私はこう思って日々暮らしてます。だから、世の中面白いのだし、出会いの楽しさもあるのだと。しかし、100人のうち95人位の人が、結婚している男女のことを今だに何のためらいもなく「御主人」「奥さん」で呼び合うのは、私にとっては、面白さや楽しさのネガティブな面であり「不思議の世界」ってところです。そこで、皆さんもご一緒にこのことをしばしの間考えて下さい。
結婚しているけど、人の妻だけれど、他人に「奥さん」と呼ばれると内心ムッとくる人がいるなんてこと、あなたは考えたことがありますか。私のまわりには、この「奥さん」という呼び方に敏感に反応する人が結構いるのです。
まず、自分のことからお話しします。デパートの食品売り場に行った時のことです。ドアを押して中へ入ると横の方から「奥さん、この○○美味しいですよ」と店員さんの声が飛び込んできました。あたりに他の人はいません。見ず知らずの人に「奥さん」と呼ばれるのはとりわけしんどいことだと日頃思っている私は「あなたに奥さんと言われる筋合いはありません!」と思わず大声をあげ、コッワーイ顔で相手をにらみつけてしまいました。ああ!後悔という字は後で悔やむと書くのですね。その店員さんと私の間には越すに越せない深い河ができてしまいました。
「奥さん」と呼ばれた時、友達Mさんは、ニッコリ笑って「わたし、外さんで〜す」とか「表(おもて)さんで〜す」と造語で答えることがあります。Mさん、実はウサギさん。エヘヘ...バラしてしまう。又。友人MMさんは、集金に来た人に「奥さん、奥さん」と連呼され、「代名詞でなく、名前を呼んでください」と言ったそうです。そう、私達の思いは将にそれ、代名詞でなく、名前で呼んでほしいのです。そして、ここで御主人が登場します。私達は夫を主人だと思っていないので夫を「御主人」と呼ばれる時も、同じように困ってしまいます。「なぜ?」って、「奥さん」「御主人」は夫と妻の呼称には違いないけれど、夫が主、妻は奥(従)と書くこの言葉は、夫と妻を上下に位置付けた呼び方だからです。それは日本の歴史と文化と伝統の中で長い間生き続けてきました。しかし、戦争に負けて、新しい思想の憲法が生まれて半世紀も過ぎました。憲法は夫と妻が対等であることを保証しています。現代は女も男も、同じように自分らしく自由に生きられる時代なのです。ですから「奥さん」「御主人」というのは、今の時代にふさわしい呼称ではないと思うのです。
「だって、他に適当な呼び方はないじゃない」という声が聞こえてきそうです。そう!ホントにそこが問題なのですが、でも、結婚歴26年の私は一度なりとも「主人」も「御主人」も「奥さん」も使ったことがありません。そういう言葉の代わりに使うのは、私の夫/私の妻、あなたの夫(ハズバンド)/あなたの妻(ワイフ)、あるいは、両方に使える「パートナー」がよいと思います。私はたまに「相棒です」などとも言います。ですが、やっぱり一番いいのは名前で呼びあうことだと思います。夫も妻も社会をつくる最小の集団(家族)の一人であり、一個の個人なのですから。知らない時は面倒がらずに配偶者の名前を尋ねた方がいいと思います。
私は二度ほどアメリカを旅し、多くのカップルに逢いました。その時に感じたのが、誰もが名前を呼び合うことの、なんと自然でなんと心地よい響き!というものでした。だけど、そのアメリカ人が日本語を覚えると、とたんに「うちの主人」と言い出します。教える人(又は本)が、ハズバンド(Hasband)=主人(Shujin )、ワイフ(Wife)=家内(Kanai)などと訳している為なのでしょうが、「主人」を連発する外国人には苦笑してしまいます。
かつてアメリカで、フェミニズム(男女同権主義)運動が、男は独身でも結婚してもミスター(Mr.)なのに、女はミス(Miss)とミセス(Mrs.)の使い分けがあるのは差別だとしてミズ(Ms.)という言葉を作り出しました。今、航空会社では、客室乗務員を男女を問わずフライトアテンダントといいます。これも男女の差別をしないという配慮からです。夫と妻の呼称は、新しい言葉を作ることより先に、個々を尊重して名前を呼びあうことだと私は思います。 (1997年6月 沖縄より)
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